社会学者の研究メモ

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2009-01-01から1年間の記事一覧

各国CO2排出量の変化を「動くグラフ」で見る

コペンハーゲン気候サミット記念で、もうひとつGoogle Motion Chartを使ったグラフを掲載。地球温暖化については全くの素人なので、余興です。解説も勘違いしているかもしれません。(「おいおい」という間違いがあれば、やさしい気持ちで指摘して下さると助…

カナダの移民と家族政策

カナダの今日のニュース。コペンハーゲン気候サミット、アフガンでのカナダ兵の捕虜虐待見過ごし問題、タイガー・ウッズの不倫とゴルフ活動無期限中止、バンクーバーオリンピック、などなど...とならんで、移民介護労働者の受け入れプログラムの変更のニュー…

Google Motion Chartで出生率の変化をみてみる

Google Spreadsheetでは、Motion Chartという機能が使えます。これがかなり楽しい。試しにWorld Bank (World Development Index)のデータを使って、一時期話題になった出生率(TFR)と女性労働力参加率(FLR)の関係を「動くチャート」にしてみました。(Google…

カナダの格差問題

今日はトロント大学社会学部で階層論を研究している教授と話をする機会がありました。いろいろ話を聞いてきたので、メモ。会話調で再構成しています。(多少脚色あり。話の把握に間違いもあるかもしれないので、教授の名前は伏せておきます。)※※※私「日本の…

既得権の社会学

再び教科書のための頭の整理のメモです。最近は社会学でも「既得権」という考え方に反応する人が増えているような気がします。これも先日のエントリでちょっと触れた「社会学者の構造改革派バイアス」の表れにみえなくもないです。が、社会学を救うというわ…

「意図せざる結果」の研究

「なぜ社会学には(そして主に社会学において)権力という概念があるのか」とか書いたら今度は社会学者がコメントを書いてくれるかな?とか思いましたが、悪趣味なのでやめときます:-)最近いまさならながらの「ミクロ-マクロ問題」(社会学にはそういうのが…

なぜ経済学には権力という概念がないか

(今回の議論はたぶん、かなり穴があります。ご承知おきを。...ってブログの記事はそもそもそういうものか。)経済学に権力という概念が全くないわけではないと思うのですが、社会学ほどは目立たない概念でしょう。なぜでしょうか。このことは、権力の定義を…

論文の書き方:FAQ

なんだかアクセスが多くてびっくりですが、それだけいろんな人が研究の方法に関心を持っているということでしょう。昨日、こちらの大学院で研究している日本出身の院生の方とお話をする機会がありました。課程留学された動機を伺ったところ、少なくとも当時…

(学生向け)面白い論文の書き方(その二)

おかげさまで前回のエントリは好評でした(2100ほどアクセスがありました)。引き続き、「ひと味違う論文作成方法」を試みます。 データ収集 さて、検証の目的から確認しておきましょう。検証の目的は、データを集めることではありません。論文を読む人(や…

(学生向け)面白い論文の書き方(その一)

今回も教科書ネタ。学生の論文には、読んでいて面白いものと、苦痛なもの指導しがいのあるものがあります。後者のような論文を書く学生は、論文についてこう考えていることが多いです。 興味のあることを見つけて、それについて文献を読み、それをまとめて、…

「個人と社会の関係」を別角度から考えてみる

この記事をおもしろく読ませていただいたので、個人的に引き延ばしてみたくなりました。(実は現在社会学のテキストブックを書いており、そこに盛り込むはずの内容です。) 全体最適 vs. オレ様最適(Chikirinの日記) 一読して経済学の話かと思って聞いてま…

祝増刷

制度と再帰性の社会学 (リベラ・シリーズ (8))作者: 筒井淳也出版社/メーカー: ハーベスト社発売日: 2006/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 49回この商品を含むブログ (26件) を見るハーベスト社の社長さんから連絡があって、近いうち増刷されるそうで…

経済学と社会学

前回のエントリは自分で読んでも不親切なような気がしますので、ちょっと補足しておきます。まず、経済学のモデルが規範的かどうか(効率性という価値基準からの政策決定のモデルをもっぱら意図しているか)ですが、もちろん違うという意見もあるかと思いま…

グラノベッターのウィリアムソン批判

Granovetter, Mark. 1985. Economic Action and Social Structure: The Problem of Embeddedness. AJS 91(3): 481-510.09年のノーベル経済学賞を受賞したO.ウィリアムソンの組織論(市場/ヒエラルキーモデル)に対するM.グラノベッターの批判が展開された論…

アンケート調査にはスキルが必要です

トロントとは関係ないネタですが。社会調査や調査教育に携わったことのある人なら、調査票を作ることにはそれなりにスキルが必要だということを知っているはずです。調査スキルを持っていない人が作った調査票はしばしば深刻な欠陥を含んでいて、その結果得…

カナダの社会学の動向

ここのところ全く社会学ネタがないので、ひとつ投下。午後にトロント大学の博士課程在学中の人とお茶をする機会がありました。「カナダでは社会学って最近どういうかんじ?」という話もしたので、聞いた内容を軽くまとめておきます。最近の一番の関心事は「…

五日目(24、木)。

朝起きると、日本の郵便局からの着信がありました。電話番号は通知されないけど、留守電で別送の荷物を搬送した郵便局だと判明。荷物がカナダから返送されてきたんだと〜。要するに、なぜかは不明だが「カナダでは保険付きの荷物は受け入れない」ということ…

四日目(23、水)。

大学に行って健康保険の手続き。途中でユダヤ教のラビのような服装の人から道を尋ねられた。「ここは○○番地でいい?」ごめん、今度はさすがに知りません。大学の保険と州政府の保険があって、結構ややこしい。次に大学を散策。社会学部がある建物はキャンパ…

三日目(22、火)。

はりきって近くのスーパー(WholeFoodsMarket)にいって食材を買い込んできました。果物がすごく安い。メロンなんて一個200円くらい。野菜コーナーには日本的な食材もおいてあります。ShitakeとかOcra(オクラ)。とりあえず野菜、果物、パスタの材料を買い…

二日目(21、月)。

朝の5時ころに目が覚め、空腹におそわれたので日本からもってきたカロリーメイトをかじりましたが、物足りないので6時ころに外に出てお店を探しました。ここでいきなり知らないおじさんに道を尋ねられる。「ヨークヴィルってどこ?」「ここらへんです。」お…

一日目(9/20、日)。

夜の9時にToronto Pearson Internatinoal Airportに到着。飛行機では左隣にクマほどの大きさのロシア人の若い男が座っていて、まあ国際便ではよくあることだけど、本人のせいじゃなく肘掛けを超えてこちらの領域(私は運悪く真ん中の席...)にはみだしてくる…

シンポジウム報告

9月15日に北海道大学で結婚についての話をします。 公開シンポジウム「現代日本の結婚」開催のお知らせ(文学研究科大学 院教育改革支援プログラム) このあとすぐに関学で統計の講義。ヒマなときと多忙なときが極端だ、この仕事は。

『アニマルスピリット』

家の近くのオリオン書房に平積みされていたので、買ってとりあえず読んだ。アニマルスピリット作者: ジョージ・A・アカロフ,ロバート・シラー,山形浩生出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 154回この商…

リベラリズム、コミュニタリアニズムと社会学

先日ディスカッサントとして招かれた社会学史学会で、コミュニタリアニズムについて話をする機会があった。おさらいがてら読んでみたのが、菊池『日本を甦らせる政治思想:現代コミュニタリアニズム入門 』だったのだが...。私も、著者自身が「日本ではコミ…

ICPSR統計セミナー

ICPSR国内利用協議会の統計セミナーで教えることになりました。私の分は9/17で、内容はマルチレベル分析です。そうそうたる講師陣の中で私だけ場違い感が否めませんが、「分からない人の気持ちが分かる」講師として努力してみようかと思います。加盟校の大学…

社会学入門

社会学入門―“多元化する時代”をどう捉えるか (NHKブックス)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2009/06メディア: 単行本購入: 18人 クリック: 224回この商品を含むブログ (120件) を見る恵投いただきました。感謝します。(またもや…

若年者非正規雇用の社会学

若年非正規雇用の社会学‐階層・ジェンダー・グローバル化 (大阪大学新世紀レクチャー)作者: 太郎丸博出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2009/06/04メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (12件) を見る恵投い…

『概念分析の社会学』

安藤太郎さん、酒井泰斗さん、前田泰樹さんの三名から、『概念分析の社会学』のご恵投に預かりました。お礼申し上げます。安藤・前田両氏とは大学院時代に同じゼミで長い間学びあった仲です。その二人がこういった啓発的な著作に関わっているのを見ると、発…

御礼:『ネットワーク論に何ができるか:「家族・コミュニティ問題」を解く』

明治学院大学の野沢慎司先生から、恵投いただきました。ありがとうございます。(ちょうどポチっとしかかっていたところでした。セーフ。)私自身の専門とも深く関わってくる内容ですので、じっくりと勉強させてもらいます。この分野(家族と社会的ネットワ…