ASR:階級とステータス
ゼミで読むかもリストとして、最近のASR(American Sociologial Review)から、目についた論文をメモ。
Tak Wing Chan and John H. Goldthorpe, 2007, "Class and Status: The Conceptual Distinction and its Empirical Relevance". ASR, 72(4):512-532.
Goldthorpeは社会階層論ではおなじみ、Chanさんも手広くやられているようです。(どうしてだか1999年にOptimal Matchingについての論文が...。)サマリが面倒なので要旨をざっと訳します。
この論文では、マックス・ウェーバーが階級classと地位statusを区別した点を再評価する。階級/地位の区別は理論的にだけでなく経験的にも説得力がある。経済的な安定性は階級によってよく説明されるが、文化消費(多様性)の面では地位の方がよく説明できる。政治的態度について言えば、保守党支持か労働党支持では階級が効くが、リバタリアンか権威主義の態度ではステータスが効く。
内容はほんとにこの要約の通り。統計学的には怪しいほど(?)クリアに仮説が支持されてました。
で、なぜステータスが高いとリバタリアンになるのかということに関しては、はっきりしたことは書かれていません。というより、「リバタリアン-権威主義」の尺度となっているのは「最近の若者は伝統的価値への敬意が薄い」→「そう思う....そう思わない」なんかの質問なので、これは「リベラル派」ですね。ステータスが高いと(同ステータス内で階級格差があっても一様に)リベラル的態度になるってのは、わからなくもないです。大学の先生なんてあまり儲からないけど威信は高く、そして多くはリベラル派ですからね。