社会学のきょうだい研究
京大の社会学研究室じゃなくて。兄弟姉妹についての社会学的研究というのがあるんですよ。しかもアメリカだと膨大な量の研究がある。そこで、頭を整理してみました。
要するにこういうものです。きょうだい構成sibling configurationには「サイズ(きょうだい数)」「順番」「出生間隔」「性別構成」がある。これらが違うことで何らかの不公平が出てきてないか、ということを検証するのです。要するに...
- 「きょうだい数が多いと一人ひとりの教育達成度(学歴)が低くなるんじゃないか」(お金が足りなくなるので)
- 「長子は次子にくらべて教育達成度が高いんじゃないか」(長子が優遇されるので)
- 「きょうだいのなかに男性がいる女性は、いない女性よりも教育達成度が低いんじゃないか」(男にお金が多く落とされるので)
といった仮説をたてて、例によってデータで検証するのです。だけどなあ。理論的考察の部分が少し手薄な気がする。
まず、順番と性別構成による差別ですが、これは親にとっては合理的な投資戦略である可能性が高い。長子に多く投資することは立派な跡継ぎを育てて将来ラクしようという魂胆の現れ。男の教育収益率*1が高いといわれている社会では男に多く投資する方が将来ラクさせてくれるかもしれない。
このように書くと一見もっともらしいけど、これって「親→子→親」という財の流れが制度化されている限りで合理的なんですよね。「子→親」の流れが今の日本でどれほどあるか...。むしろ親は金銭的見返りではなくてメンタルな見返りを子どもに期待するようになってきていますから、そうなるとメンタル・サポートのスキルに優れた女性を選好するようになると考えられる*2。だけど子どもの性別選好と教育投資の優遇配分は関係ない。高学歴女性の方がメンタル・サポートに優れている、とは限らない。
だとすれば、きょうだい研究の方向性は変わっていくべきかもしれない。サイズ、間隔による格差は残るかも。(「3人きょうだいは不利?」とか「年子は不利?」とか。)