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社会学者の研究メモ

はてなダイアリーから移転しました。

Ecological Fallacy

社会調査

日教組組織率と学力」の相関が話題になっているみたいです。

「日教組強いと学力低い」中山説、調べてみれば相関なしasahi.com, 2008年9月27日)

この程度の分析で「相関なし」と断言して数百万人に周知してしまう基礎学力のなさはいかにもマスコミらしいですが(数倍緻密に分析した研究者の論文はせいぜい数百人が目にする程度でしょう)、ほんとのところが知りたいなら少しデータの整備が必要です。

なにより、こういう集計データ(aggregate data)を使う場合、生態学的錯誤(ecological fallacy)があるかどうかをチェックする必要があります。つまり、「全体である命題が成り立つからといって、同じことが個々で成り立つとは限らない」ということです。極端に言えば、図のように個々の県のなかでは相関が認められても、集計後では逆の相関になったりすることがあります。この錯誤を回避するには、県単位の集計データではなく、学校単位のデータが必要になります。(データは、文科省なら持っているでしょう。)

それ以前に、他の要素もコントロールしなきゃですね。特に学年。子どもの学力には家庭環境と学校の両方が影響しますが、学校の影響は高学年ほど強くなることが考えられますし。

文科省もデータ持っているんだから、ちゃんと分析すればいいのに。法学部卒の限界か?(って言っちゃダメですか?)データ分析を大学にばんばん外注する仕組みがあれば、学力テストにかかった費用も無駄にならずにすむんでは。

Multilevel Analysis: Techniques and Applications (Quantitative Methodology Series)

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