社会学者の研究メモ

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SEOと広告(1)

田舎社会学シリーズはちょっと飽きてきたので、今度は「インターネットの社会学」(...こう書くとなんだかいかがわしく聞こえるのはなぜだろうか)。

以前、自分のウェブサイトで「ウェブの公共性」というコラムを書きました。内容を短く言うと、「SEOコンテストは気味が悪い」というもの。

SEO」とはSearch Engine Optimizationの略。Google等の検索エンジンを使って検索したときに自分・自社のページがランキング上位に来るようにウェブページを「最適化」すること。もともと検索エンジンとは、検索ワードをテーマにした、あるいは検索ワードを使ったページを探してくれるものなんですが、これを「最適化」するというのは、多くの場合、「何もしなければ同程度のランクのページ群のなかの、特定のページ(自分・自社のページ)のランクを上げる」ということ。「自分のサイトを見てほしい」という会社がSEOに手を染めるのは当然だが、ウェブのユーザ側にとってみればこれほど迷惑なものはないのです。

ユーザ側が特定のワード・フレーズで検索することの目的は多様でしょうが、多くの場合はそのワード・フレーズについての「説明」をしてくれるサイトを探しているはず。しかし企業の目的は、そういったワード・フレーズに興味を持った人に何らかの財やサービスを売りつけること。だとすれば、企業がSEOをやればやるほど、検索エンジンの機能が損なわれることになります。というのは、検索エンジンにとっての顧客である一般ユーザの目的に沿うことができなくなるからです。

だから、検索エンジン企業(とくにGoogle)は不当にSEOを行っている企業にはペナルティを与え、検索してもその企業のサイトがヒットしないようにしてしまいます。または、SEOの手口を使ったサイトのランクが上位にならないように検索エンジンを改良します。要するに「アンチSEO」なのです。

で、どうして私がSEOコンテストに違和感を感じたかというと、確かにSEOの全てが迷惑行為(スパム)というわけではないにしろ、コンテストなんてやってしまうのはあまりに屈託がなさ過ぎるのでは、という気がしたからです。

(続く。)