社会調査法のテキスト
日本でも社会調査法のテキストブックは数多く出版されている。おそらく100冊は下らないのではないか。質の高いものも多く、そのなかでどれを選ぶのか、なかなかに悩ましい問題だ。
講義で使うこともあって様々なテキストブックを眺めてきたが、私見では、下のテキストは出色である。
- 作者: 轟亮,杉野勇
- 出版社/メーカー: 法律文化社
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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この本は、社会調査においてほんとうに大事なことを省略していない。たとえば第4章の「社会調査のデザイン」では、調査を設計する前にリサーチクエスチョンを練り上げる必要性を、無作為割り当て実験と調査との違い、擬似相関を除去して因果分析を行う際に必要となる共変量データの採取、という面から丁寧に説明している。選択バイアスに触れているのも貴重である。
その他の章も「かゆいところに手が届く」説明になっており、実査の段階で実際に遭遇する問題もほぼ網羅されているようだ。来年度の社会調査法の講義ではこのテキストブックを採用させていただいた。