読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

社会学者の研究メモ

はてなダイアリーから移転しました。

今日のゼミ

社会学

いつもゼミで何をしようか迷っているのですが、今回は新たな試みとして、3回生(立命2期生)ゼミでこういうことをしました。

  • 命題1:「就業・転職においては強い紐帯よりも弱い紐帯の方が有利なことがある。」なぜか?
  • 命題2:「大人になるにつれて、ネットワークは(社会的地位の面で)均質になっていく。」なぜか?
  • 命題3:「結婚すると男は幸福になるが、女性は不幸になる。」なぜか?(ネットワークの観点から。)
  • 命題4:「目的集団のネットワークは、緩やかで水平的なアソシエーション型ではなく、垂直的なヒエラルキー型になる。」なぜか?

これらは必ずしも完全に立証されている命題ではないのですが、ゼミ生にこれら命題が成立する理由を発表させてみました。以上の命題が書いた紙を配布し、各自10分程度考えさせた上で、その場でランダムに当てました。

手前味噌で恐縮なんですが、ほぼすべて「正解」に近い形で答えられてしまいました。やるじゃん。ネットワーク論の知識がない状態でよくわかったなあと感心しましたが...それとも考えればわかることなんですかねえ。いずれにしろ私は自分の頭で考える学生が好きなので、うれしかったですよ。

ちなみに標準的な答えは以下のようになるかと思います。

  • 命題1:弱い紐帯は重なりが小さく、自分が知らない(したがって有用な)情報がそこから入手されやすい。また、一人の人間が関係維持に費やす労力には限界があるので、弱い紐帯をいくつももっていると情報源がそれだけ豊かになる。

また、これに関して「別解」を提起した学生がいて、それは「弱い紐帯では(自分のことを相手があまり知らないので)自分の不利な情報を隠すことができる」というもの。なるほど〜と感心しちゃいました。ゴッフマンの仕事に通じる洞察ですね。あるいはstructural holesの優位性の源泉の一つかもしれない。

  • 命題2:小学校→中学校→...とあがるにつれて、学力の面で集団が均質化していき、かつ学力と社会的地位が連動している。(だから大学まで行ってしまうと、小学校のときの友人とはなかなか趣味などの面で話が合わなくなる。)

補足知識として、同類原理(人は自分と似たような人と関係を持ちやすい)を説明。いってみればpoliticallyに微妙な話なんですが、みなふむふむと聞いていたようなかんじ。

  • 命題3:女性は結婚・出産するといったん家庭に入ることで未婚時代にサポート源であった同性ネットワークを失う。夫からはサポートを得られない。夫は会社の友人とのネットワークに変化はないし、かつ妻からサポートを得られる。家族社会学における「サポートギャップ仮説」として有名な話ですね。

ここでTAさんから、「ある女性が結婚すると、周囲の未婚の友人は声をかけづらくなる。気を遣うし、かつ話が合わなくなってしまう。こういう夫婦の外の要因も無視できない」という別解が。う〜ん、こっちも説得力あるなあ〜。論文になるかも?

  • 命題4:目的を効率的に達成するには、指導者が必要。民主的な組織では意志決定コストが高い。

これに関しては、「EUなんかの組織はアソシエーション型ですよね」という意見がありました。一瞬答えに窮しましたが、EUにしろG7にしろトップ層が集まって協議をする機関であり、その意味では小集団となるので、意志決定がそこで可能になる、というような答えをしておきました。ちゃんと調べれば別の答えがありそうですが。

1期生もなかなかデキる学生が多かったですが、2期生も期待できそうだな〜。ちょっと鍛えてみようか、と思って、次からは『リーディングス・ネットワーク論』の論文を読ませる予定。

リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本

リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本