社会学者の研究メモ

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組織と家族(3)

前のエントリのコメントにも書かれているように、家族を組織論つまり「市場or組織」のアナロジーで考えることにはいろんな問題がある。そのなかでも最大の難点は「子ども」。これは(精子バンクや代理母なんかで)技術的には市場化できるものだけど、よほど出産の機会費用が高い人じゃなければ市場化されても利用しようって人は少ないんじゃないだろうか。日本では確か、代理母は姉妹であることが多いんじゃなかったっけ*1。これなんか、市場化されずに親族ネットワーク内でサービスを調達する一つの例だろう。

以前源チャさんが言っていたように欧米世界では親は子どもに経済的見返りを期待しないっていう場合、子供を持ちたがる親の効用って、主にどこにあるんだろうか。多分、以下のものが混じっていると考えるのがふつうだろう。

  • 愛がん対象(幼児期のみ) --> ペットで代替可能?(無理っぽい。)
  • コミュニケーション(子どもが大人になってから) --> 友だちで代替可能?(無理っぽい。)
  • 自分の親に孫を見せたい --> これからは弱くなりそう。
  • 自分の家・血を途絶えさせたくない --> こればっかりは...。

ぼちぼちここらへんの欲求がほんとにあるのか、あるならどれくらい強いのか、ちゃんとしたデータを取った方がよさそう。

*1:ドラマ『フレンズ』には、高齢の女性と結婚した弟のために姉が代理出産するというエピソードがあるが、こういうのはあまりないだろうな。