社会学者の研究メモ

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ホワイトカラーエグゼンプション

いよいよ大詰めになってきた模様。ほんとにやる気なんでしょうか。

この制度は「よい言い方」をすると「管理職を自営業扱いしよう」というもの。自営業者や一部専門職(と大学教員)はごく一部を除いて労働時間がかなり自由。しかし自営業者・専門職は成果が目に見える形で帰属できるから(あるいはそうしようと思えばできるから)裁量労働しても問題が少ないわけで。だからこの制度の「表向き」の成否は、やはり日本企業の積年の課題である「評価システムの整備」にかかってます。専門職以外の労働者(管理職)に「労働時間」ではない成果、「どの部下よりも早く家に帰らないこと」による評価ではないかたちの評価ができるかどうかが分かれ目。

しかしこれは表向き。評価システムについての議論はあまりなされてない模様。それに評価にはそれ相応のエクストラ・コストがかかるもの。なので「裏向き」はやっぱり人件費削減で企業の競争力を高めようってことでしょう。だとすれば、法案に賛成の人は、企業の競争力が高まれば日本人の多くが幸せになれるってことを証明すればいいわけで。しかしこれ、難しそうです。

もし労働力について新古典派的な世界を実現したいのなら、「労働力を評価する労働力の市場」を創設しないといけませんね。そういうスキルを磨くための専門知識を提供する研究とか資格とかあってもいいかも。

大学教員の業績評価だってあやしいもの。文系じゃ査読付きジャーナルの格付けだってされてないもの。トップジャーナルの10分の1の労力で載せることができるジャーナルでも1本は1本。...というかそもそも業績給ではないか(一部を除いて)。業績給ではないのに裁量労働してりゃ、さぼる人もでてくるわな。