社会学者の研究メモ

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必修科目の履修漏れ問題

これ、全体社会の問題のよい縮図であるような気がする。

つまり、不公平な現状を矯正しようとすれば、少なくとも短期的には全体社会としても効率が悪い状態がもたらされる可能性がある。他方で短期的な効率性を重視して公平性をないがしろにすれば、長期的には不公平なシステムがモラルハザードによるより根深い非効率化をもたらす恐れがある。

まあ現状の高校の履修システムに受験・進学システムからみた効率性がないことが根本的原因なんだろうけども。そして受験・進学システムが全体社会のシステム上合理的かどうかが、また別の問題としてある。たぶん三つとも、ちっとも噛み合ってない。今回は前二者(高校の履修システムと受験・進学システム)の齟齬が明白になっただけで、より重要な社会システム上の合理性との齟齬が今度は問題にされるべき。理論的にはシグナリング理論やネットワーク外部性の理論を筆頭にわんさか道具があるのだが、なにしろ一般人も政治家も官僚もふつうはそんなもん知らないもんね。間違った方向に制度設計しないように、せめて実態調査くらいはやってほしいものだ。