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社会学者の研究メモ

はてなダイアリーから移転しました。

SEOと広告(2)

さて、悪いSEOが自分・自社の価値・ウェブ上のプレゼンスを「不当」に高めるための行為であるとすれば、基本的にはそれは商品のイメージを「不当」につり上げようとする広告一般とよく似ています。また、広告理論のなかにも多様な立場とアプローチがあるように、SEOについても多様な立場(支持派=効率化を促進する/不支持派=阻害する)があることも、SEOと広告の類似性を支持しているように思えます。

ところで、広告の効果にとっての最大の難点とはなんだと思いますか? それは「広告が広告だ」ということなんですね。ある商品をアピールするのに、広告としてアピールすると、それだけで見る側はディスカウントしてそのメッセージを受け入れます。マクドナルドのお姉さんがやさしくほほえみかけても、ふつうの男性は「あ、この子俺のこと好きなんだ」と思わないってことですね。ですので、同じ情報ならば広告よりも口コミで聞いた方が購買力刺激効果は大きいでしょう。社会学の言葉で言えば、広告の「フレームframe」自体が広告の効果を弱めている、ということですね。

となれば、広告の効果を高めようとするなら、このフレームをなんとかして解除しないといけないわけです。通常のメディアでは、この手法には規制がかかっているはずです(あまり詳しくないのですが...誰か教えてください)。しかしウェブ検索のページランクシステムは、少なくとも検索エンジン企業側が規制を設けるまでは、非常に安価にフレーム解除ができるおいしいシステムだったのですね。

ウェブの世界にビジネスが入り込むようになって久しいですが、ウェブがもともとビジネスを前提として設計されているわけではない以上、こういった例はこれからどんどん増えていくような気がします。よく知られたソニーの「ゲートキーパー問題」もそういったあいまいさにつけ込もうとした例だと言えるでしょう。

ソニーの事例は見事な玉砕を結末としていますが、やりようによっては企業が「広告フレーム」を解除された情報を垂れ流し続けるすることは容易でしょう。人気ブログを創りだし(あるいは人気ブロガーと密かに契約し)、自社製品のアピールを「非広告的」にやってもらうとか。むろん規制はかかるのでしょうが、Google社によるアンチSEOの実装がなんだかんだで事後的な対処だったことにもみてとれるように、通常メディアに比べてウェブの世界ではまだまだこういった「フレーム解除攻撃」に無防備であるように思えます。

ところで最近ラジオを聞いていると、パーソナリティらしき人がやたら特定の製品をプッシュするので「へんな番組だなあ」と思っていたら、実は広告フレームだった、ということがよくありました。あれって法律上は大丈夫なんでしょうかね。