社会学者の研究メモ

はてなダイアリーから移転しました。

社会学と因果推論

8月に入ってからのICPSR統計セミナー、ゼミ合宿、データクリーニング合宿、数理社会学会という怒涛のイベント+出張シリーズが一段落したので、ひさびさに更新します。先日行われた第56回数理社会学会の新規会長(近藤博之先生)の講演のタイトルは、「ハビト…

関学大学院の講義で話したこと:社会学における計量分析の位置づけ

鈴木謙介先生の紹介で、関西学院大学院社会学研究科で4週にわたって講義を行った。さいわい受講者に恵まれ、ヘタな講義にもかかわらず、そこそこ実りのある授業ができたのではないかと思う。この記事では、そこで話をしたことを備忘録代わりに軽くまとめてお…

『統計学が最強の学問である』感想

読みました! 自信をもって学生にお勧めできる本であると思います。統計学が最強の学問である作者: 西内啓出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/01/24メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 11人 クリック: 209回この商品を含むブログ (126件) を見…

『入門・社会調査法』(第2版)

以前もおすすめ情報を掲載した、イチオシの社会調査論の本の第二版です。入門・社会調査法―2ステップで基礎から学ぶ作者: 轟亮,杉野勇出版社/メーカー: 法律文化社発売日: 2013/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るインターネット調査につ…

『少子化論』

今年度から中京大学で教鞭をとっておられる松田先生からいただきました。ありがとうございます。松田先生は長年少子化問題に取り組んでおられ、それを反映して非常に充実した、かつバランスのとれた構成になっており、あらためて勉強させていただこうと思い…

今年度の目標(2013年度版)

あれから一年経ちました。ひとりPDCAします。まずは「2012年度の目標」の振り返りから。 テキストの出版(出版社の方を随分お待たせしている) 成果:少しだけ進みましたが..orz(学部の役職が..) O. ウィリアムソンの翻訳の出版(ノーベル記念経済学賞がど…

マルチレベル分析の使い方

社会学研究者やその近接分野の研究者から、いわゆる「マルチレベル分析」についてよく似た質問をよく受けるようになったので、簡単な見解を示しておくことにする。心理学や社会学でマルチレベル分析と呼ばれている分析方法は、基本的には変量/混合効果モデ…

『はじめて学ぶ社会調査』

ご恵投いただきました。ありがとうございます。はじめて学ぶ社会調査: リサーチ・マインドを磨く8つのレクチャー作者: 儘田徹出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2012/10/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る第1講(「科学観の変…

『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』

ご恵投いただきました。ありがとうございます。エスノメソドロジーと科学実践の社会学作者: マイケルリンチ,水川喜文,中村和生出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2012/10/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る以前原著を途中…

社会学方法論と社会調査論の関係

(長文かつ専門家向けであり、一部の人以外にとってはあまりおもしろくない記事なので、あらかじめご了承ください。) 教科書的な社会学方法論 教科書的な社会学方法論においては、主観主義的立場と客観主義的立場の分断について論じられることが多い。いく…

アンペイドワークについて

(2012.10.8追記:お勧め文献を追加しました。) 概念整理 社会学分野でも、ケア労働やアンペイドワークについて多くの理論的・概念的考察がなされてきた。しかし文献のなかには、概念的な混乱のために無駄な議論をしているものも多い。この記事では、アンペ…

第三回連携研究会を終えて

「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」第三回研究会(立命館大学朱雀キャンパス)が終了しました。前回までの研究会に続き、全国から30名程度の参加があり、職業研究者のみならず複数の出版社の方にも来ていただきました。参加者の…

計量分析を使った論文の構成ガイド

研究者個々人の好みや分野によって異なるところもあるが、標準的・テキストブック的には、以下のようになるだろう。 イントロダクション 先行研究の紹介と問い・仮説の設定 分析 結論/討議/インプリケーション この「分析」のパートについては、社会学界隈…

マルチレベル分析のハイブリッド・モデル

阪大の社会学界隈で、マルチレベルデータについてしばしば「ハイブリッドモデル」と呼ばれているモデリングの手法が実践されていたので、下記に目を通してみた。(以前読んでいたのだが、今回改めて。)Fixed Effects Regression Models (Quantitative Appli…

調査観察データの特徴に関する若干の誤解

以前書いたサンプリングについての記事では、「単純ランダムサンプリングが基本で、他のサンプリング方法はそのバリエーションだ」というよくある整理(誤解)が、サンプリングについての理解を妨げていることを論じた。今回は、「パネルデータは横断データ…

第三回連携研究会のお知らせ

下記PDFの要領で研究会を開催致します。参加希望の方は事前に告知文PDFにある連絡先までお願いします。会場がそれほど広くないので、万が一希望者多数の場合は参加制限することもございます。ご了承ください。「人文学・社会科学における質的研究と量的研究…

『タイム・バインド(時間の板挟み状態) 働く母親のワークライフバランス』

少しお知らせが遅くなりましたが、恵投いただきました。ありがとうございます。タイム・バインド(時間の板挟み状態) 働く母親のワークライフバランス―仕事・家庭・子どもをめぐる真実―作者: アーリー・ラッセル・ホックシールド,坂口緑,中野聡子,両角道代出…

『ミクロデータの計量分析』

恵投いただきました。ありがとうございます。ミクロデータの計量人口学 (人口学ライブラリー11)作者: 小島宏,安藏伸治出版社/メーカー: 原書房発売日: 2012/04/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る様々なミクロデータを使用した結婚や家族…

今年度の目標(ウソにならぬようがんばる)

テキストの出版(出版社の方を随分お待たせしている) O. ウィリアムソンの翻訳の出版(ノーベル記念経済学賞がどんどんと過去に...) 計量社会学のテキストの編集(成り行きもあって編者になっています) いくつか英語で出版(一つは進行中、あとはR&Rに答…

第二回連携研究会を終えて

「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」第二回研究会もなかなか盛り上がりました。結局前回と同程度の参加(30名弱)がありました。参加者の方々、ありがとうございました。本研究会の趣旨には、実は「連携」を模索すると言うよりは…

第二回連携研究会のお知らせ

下記PDFの要領で研究会を開催致します。参加希望の方は事前に告知文PDFにある連絡先までお願いします。会場がそれほど広くないので、万が一希望者多数の場合は参加制限することもございます。ご了承ください。ワークショップ「人文学・社会科学における質的…

説明と選抜:統計学における2つの「関心」

社会学者や経済学者にとって、統計学をベースにした計量分析とは、何かを因果的に説明する道具であるという側面がある。賃金を学歴で説明するというとき、それは他の条件が同じで学歴が変化したときの賃金の変化量を推定する、という意味である。(記述的な…

Max OS X Lionで日本語LaTeX環境

※若干修正しました(追加ファイルやbib、bstファイルの置き場所)。OSをLionに変えてLaTeX環境も再構築したとき、少し手間取ったのでメモしておきます。私自身「ど」のつく初心者ですので、初心者がひっかかりやすいところを少しカバーできていると思います…

社会保障の「気前良さ」は政府支出の大きさでは測れない

政府は増大する社会保障支出を背景に、いよいよ増税に向けた調整を本格化させている。他方でアカデミズムにおける社会保障論(福祉国家論)をみると、日本は基本的に社会保障に関して低い水準にあるということがたいていの議論の出発点となっており、現在の…

『平等と効率の福祉革命』

以前共著で論文を書いた訳者の一人の方から頂きました。ありがとうございます。エスピン=アンデルセンは2000年前後からジェンダー格差を意識した論考を続けていますが、本書はその一つの到達点であり、重要な著作であると言えます。平等と効率の福祉革命――新…

反事実的状況のマクロシミュレーション

(授業やら会議やらでバタバタ気味で、誤字などある可能性もありますが、とりあえずあげておきます。)性別賃金格差の研究では、しばしば「男女の◯◯構成が同じだと仮定すれば賃金格差は△△だけ縮小する」といった、マクロレベルでの反事実的状況の想定が行わ…

社会学における「理論の実証」

(以下は二〜三カ月前に書いたメモですが、寝かせておいてもあまり意味がなさそうだし、稲葉先生もシノドスの論考を公開されたのでいいタイミングだと思うのもあり、ちょっと手を入れた上で公開します。) 社会学の問いの特徴 私は、学部のゼミでは(大学院…

御礼

ICPSR国内利用協議会でお世話になっている東大社研の前田先生より下記のご著書を恵投いただきました。ありがとうございます。先日政治学会のセッションにもおよびいただいたこともあり、徐々に政治学分野の研究者の方と交流が増えてきたように思います。いろ…

「家族福祉論の解体」感想

先日の研究会にも参加してくれた久保田さんの最近の論文です。 久保田裕之、2011、「家族福祉論の解体」『社会政策』3(1): 113-123. 非常に示唆的な論考で、興味深く読みました(今年一番の収穫だったかも)。私なりに内容をまとめると...(下手なまとめかも…

第一回「連携」研究会を終えて

「来ても10人くらいだろうから、ちっこい部屋でいいや」という予想を大幅に上回る30名の方が参加された「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性・第一回研究会」を、無事終了致しました。(無事、といってもちょっと研究会本体の時間を…