社会学者の研究メモ

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社会学

「公共性」ノート:フレイザーの正義論

「公共性ノート」第三弾は、最初のノート(再分配か承認か)でホネットの攻撃対象になったフレイザーの論文から。中断された正義―「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察作者: ナンシーフレイザー,Nancy Fraser,仲正昌樹出版社/メーカー: 御茶の水書房…

「公共性」ノート:『公共性の構造転換』第五章

第二弾はお馴染み、第二世代フランクフルターの旗手、ハーバーマスの『公共性の構造転換』。公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究作者: ユルゲンハーバーマス,Jurgen Habermas,細谷貞雄,山田正行出版社/メーカー: 未来社発売日: 1994/06メ…

「公共性」ノート:再分配か承認か

某出版企画で「公共性(公共圏)」や「市民社会」について書くことになりました。いろいろ復習しなきゃならなくなりましたので、ノートを作っていきます。(ひっそり作っていくと飽きるのでいくつか記事にします。)第一弾はナンシー・フレイザーandアクセル…

新刊案内『仕事と家族』

(5/16に追記)5月25日発売予定の新刊の案内です。ここ最近いろんなところで書いてきたことに、いくつか新しい論考を加えています。仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)作者: 筒井 淳也出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015…

因果推論の社会学

前回の「関西計量社会学研究会」で、「計量社会学と因果推論」という主題でお話をさせていただいた。メモ代わりにそこで話したこと、その後に考えたことを書いておく。まず、上記研究会で話したことは、短く言うと以下のとおり。 最近は観察データの分析でも…

今年度の目標(2015年度版)

あれから一年経ちました。まずは「2014年度の目標」を振り返って達成度合いを確認します。 新書の出版:校了! 5月に出版予定! 中公新書から、タイトルは『仕事と家族』(仮)です。 社会学テキストの出版:SY社の方(単著テキスト)、事態が進行せず。編集…

第58回数理社会学会

第58回の数理社会学会(日本女子体育大学)が無事おわりました。参加されたみなさま、おつかれさまでした。今回はセミナー(「傾向スコアを用いた欠測データ解析・選択バイアスの調整とその周辺」)に星野崇宏先生をお呼びし、シンポジウム(「幸福研究のフ…

USJI Weekで報告

USJIという組織が主催するカンファレンスで報告します。場所はワシントンDCの学振オフィス、9/8の10:30からです。部会は"Event 8: Women and Foreign Workers: New Stakeholders of Abenomics?"、私のタイトル(予定)は"When Equal Opportunity Law Fails i…

日本的働き方における「フレキシビリティ」の矛盾

シノドスに「男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない」という記事を掲載させていただいた。そこでは、育児期の制度的手当をし、採用・昇進(昇格)に際しての男女差別を排することで(従来の)男性的働き方に女性を引き入れようとしても、結果的に…

ISA Yokohamaで司会と報告

来週からの世界社会学会@横浜で、オーガナイザ(たぶん司会)と報告をひとつずつやります。参加者の方、会場でお会いしましょう。■セッション・オーガナイザ JS-61: Panel Data Analysis of Families Worldwide Thursday, July 17, 2014: 5:30 PM-7:20 PM, R…

社会学と因果推論

8月に入ってからのICPSR統計セミナー、ゼミ合宿、データクリーニング合宿、数理社会学会という怒涛のイベント+出張シリーズが一段落したので、ひさびさに更新します。先日行われた第56回数理社会学会の新規会長(近藤博之先生)の講演のタイトルは、「ハビト…

関学大学院の講義で話したこと:社会学における計量分析の位置づけ

鈴木謙介先生の紹介で、関西学院大学院社会学研究科で4週にわたって講義を行った。さいわい受講者に恵まれ、ヘタな講義にもかかわらず、そこそこ実りのある授業ができたのではないかと思う。この記事では、そこで話をしたことを備忘録代わりに軽くまとめてお…

社会学方法論と社会調査論の関係

(長文かつ専門家向けであり、一部の人以外にとってはあまりおもしろくない記事なので、あらかじめご了承ください。) 教科書的な社会学方法論 教科書的な社会学方法論においては、主観主義的立場と客観主義的立場の分断について論じられることが多い。いく…

アンペイドワークについて

(2012.10.8追記:お勧め文献を追加しました。) 概念整理 社会学分野でも、ケア労働やアンペイドワークについて多くの理論的・概念的考察がなされてきた。しかし文献のなかには、概念的な混乱のために無駄な議論をしているものも多い。この記事では、アンペ…

第三回連携研究会を終えて

「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」第三回研究会(立命館大学朱雀キャンパス)が終了しました。前回までの研究会に続き、全国から30名程度の参加があり、職業研究者のみならず複数の出版社の方にも来ていただきました。参加者の…

計量分析を使った論文の構成ガイド

研究者個々人の好みや分野によって異なるところもあるが、標準的・テキストブック的には、以下のようになるだろう。 イントロダクション 先行研究の紹介と問い・仮説の設定 分析 結論/討議/インプリケーション この「分析」のパートについては、社会学界隈…

第三回連携研究会のお知らせ

下記PDFの要領で研究会を開催致します。参加希望の方は事前に告知文PDFにある連絡先までお願いします。会場がそれほど広くないので、万が一希望者多数の場合は参加制限することもございます。ご了承ください。「人文学・社会科学における質的研究と量的研究…

第二回連携研究会を終えて

「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」第二回研究会もなかなか盛り上がりました。結局前回と同程度の参加(30名弱)がありました。参加者の方々、ありがとうございました。本研究会の趣旨には、実は「連携」を模索すると言うよりは…

第二回連携研究会のお知らせ

下記PDFの要領で研究会を開催致します。参加希望の方は事前に告知文PDFにある連絡先までお願いします。会場がそれほど広くないので、万が一希望者多数の場合は参加制限することもございます。ご了承ください。ワークショップ「人文学・社会科学における質的…

社会保障の「気前良さ」は政府支出の大きさでは測れない

政府は増大する社会保障支出を背景に、いよいよ増税に向けた調整を本格化させている。他方でアカデミズムにおける社会保障論(福祉国家論)をみると、日本は基本的に社会保障に関して低い水準にあるということがたいていの議論の出発点となっており、現在の…

反事実的状況のマクロシミュレーション

(授業やら会議やらでバタバタ気味で、誤字などある可能性もありますが、とりあえずあげておきます。)性別賃金格差の研究では、しばしば「男女の◯◯構成が同じだと仮定すれば賃金格差は△△だけ縮小する」といった、マクロレベルでの反事実的状況の想定が行わ…

社会学における「理論の実証」

(以下は二〜三カ月前に書いたメモですが、寝かせておいてもあまり意味がなさそうだし、稲葉先生もシノドスの論考を公開されたのでいいタイミングだと思うのもあり、ちょっと手を入れた上で公開します。) 社会学の問いの特徴 私は、学部のゼミでは(大学院…

「家族福祉論の解体」感想

先日の研究会にも参加してくれた久保田さんの最近の論文です。 久保田裕之、2011、「家族福祉論の解体」『社会政策』3(1): 113-123. 非常に示唆的な論考で、興味深く読みました(今年一番の収穫だったかも)。私なりに内容をまとめると...(下手なまとめかも…

第一回「連携」研究会を終えて

「来ても10人くらいだろうから、ちっこい部屋でいいや」という予想を大幅に上回る30名の方が参加された「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性・第一回研究会」を、無事終了致しました。(無事、といってもちょっと研究会本体の時間を…

第一回連携研究会のお知らせ

下記PDFの要領で研究会を開催致します。参加希望の方は事前に告知文PDFにある連絡先までお願いします。会場がそれほど広くないので、万が一希望者多数の場合は参加制限することもございます。ご了承ください。ワークショップ「人文学・社会科学における質的…

量的研究と質的研究の連携に向けて

足の調子が少し悪くてひきこもってます...。しかし手は動く。筒井が所属する立命館大学人文科学研究所からの助成で、「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」研究会をスタートさせました。さしあたり3年間継続します。研究助成を申請…

質的研究と量的研究について

とある出版企画でそういうお話を書かなければいけないので、社会学におけるいわゆる「質的研究」と「量的研究」の区別についてメモを書いておく。結論から言うと、次のように考えるとミスリーディングである。つまり、「まずある<理論>があって、それを<…

GlobalIndexからみた各国のグローバル化の進み具合

入社式での社長のスピーチから人文系の学術書にいたるまで、頻繁に使われる「グローバル化が深まる中で...」という枕詞ですが(ここ2ヵ月ほどはその地位を「震災」に譲っているようです)、たいていの場合は特にデータに基づかない印象論で語られていると思…

雇用におけるジェンダー格差をどう測るか?

2008年のOECD Employment Outlookの第3章では、ジェンダーとエスニシティによる雇用・賃金格差が特集されています。目についたところを抜粋すると... OECD参加国では、女性の雇用率は男性より20%小さく、賃金は17%低い。 賃金格差が最も大きいのはトルコ、メ…

御礼『仕事と生活:労働社会の変容』

同僚の前田信彦先生に、単著を頂きました。感謝します。(業務でご多忙な中、単著を出版されるのは、頭が下がる思いです。)「叢書・現代社会学」というシリーズの第二巻のようです。仕事と生活―労働社会の変容 (叢書・現代社会学)作者: 前田信彦出版社/メー…