社会学者の研究メモ

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『社会を知るためには』補論:圧縮近代と「噛み合わなさ」

社会を知るためには (ちくまプリマー新書)作者:筒井淳也発売日: 2020/09/09メディア: 新書(前回の続きです。本は初学者向けですが、「補論」シリーズはそうではないかもしれないので、ご理解ください。)社会の各部分の「噛み合わなさ」を考えるとき、私自…

『社会を知るためには』補論:社会学と「制度的補完性」

9月に、下記の本を出版しました。社会を知るためには (ちくまプリマー新書)作者:筒井淳也発売日: 2020/09/09メディア: 新書かわいいイラストも書いていただき、とても読みやすく仕上がっていると思います(当社比)。ただ、初学者向けとはいえ、いろんな読み…

中国で夏季集中講義

ひさびさの更新になります。7/8から7/15まで、中国の北京の大学で夏期集中講座を担当してきました。なかなかない経験だと思うので、備忘録代わりに記事を書いておきます。講義を行ったのは大学は北京林業大学という大学で、北京の西北にある、たくさんの大学…

NHK出演の(裏)話

某高級ブランドのプレス(広報)として出演してまいりました。www.nhk.or.jp で、やっぱりいろいろカットされていたので(仕方ないけど)、ここに書いておきます。(ひさびさの更新がこんなんですみません。)「家電量販店と恋愛の関係」のくだりについては…

『社会学はどこから来てどこへ行くのか』出版によせて

今月(2018年11月)、四人の社会学者の対談集、『社会学はどこから来てどこへ行くのか』が出版された。私以外の三人は、社会学の世界に限らず高い認知度があって、どういったいきさつからか、そこに私も混ざっているのだが、いくばくか場違い感があるのは否…

近況報告

ずいぶん更新しておりませんでしたが、いくつかお知らせです。 『社会学入門』(前田泰樹先生との共著) 各章について、量的研究を専門とする筒井と、質的研究を専門とする前田泰樹先生が異なった視点から執筆するという新しいスタイルの社会学入門です。量…

もろもろお知らせ

年末も近づいてきましたが、いくつかお知らせです。 『パネルデータの調査と分析・入門』出版 パネルデータの調査と分析・入門作者: 筒井淳也,水落正明,保田時男出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2016/11/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見…

「公共性」ノート:フレイザーの正義論

「公共性ノート」第三弾は、最初のノート(再分配か承認か)でホネットの攻撃対象になったフレイザーの論文から。中断された正義―「ポスト社会主義的」条件をめぐる批判的省察作者: ナンシーフレイザー,Nancy Fraser,仲正昌樹出版社/メーカー: 御茶の水書房…

新刊『結婚と家族のこれから』のお知らせ

拙著の新刊、『結婚と家族のこれから:共働き社会の限界』が6月16日に発売されます。Amazonでは書影も出て、予約をすることができます。長いスパンを視野に入れて、家族と共働き社会を相対化する視点から、その意義と限界について論じています。結婚と家族の…

『仕事と家族』重版

おかげさまで、拙著『仕事と家族』が重版になりました。仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)作者: 筒井 淳也出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/05/22メディア: 新書この商品を含むブログ (26件) を見るまた、不動産協会…

『計量社会学入門』出版のお知らせ

企画開始から3年余、ようやく世に出ました! 基礎手法、分野別研究解説、用語解説など充実した内容です。計量社会学の全体の姿を把握できる数少ない本だと思いますので、ぜひ教科書、参考書等でのご活用を検討ください。計量社会学入門―社会をデータでよむ作…

『仕事と家族』Kindle版

おかげさまで(概ね)好評の拙著、『仕事と家族』(中公新書)のKindle版が出てました。仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)作者: 筒井淳也出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/08/14メディア: Kindle版この商品を含むブログ…

「公共性」ノート:『公共性の構造転換』第五章

第二弾はお馴染み、第二世代フランクフルターの旗手、ハーバーマスの『公共性の構造転換』。公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究作者:ユルゲン ハーバーマス出版社/メーカー: 未来社発売日: 1994/06/01メディア: 単行本これはレビューが…

「公共性」ノート:再分配か承認か

某出版企画で「公共性(公共圏)」や「市民社会」について書くことになりました。いろいろ復習しなきゃならなくなりましたので、ノートを作っていきます。(ひっそり作っていくと飽きるのでいくつか記事にします。)第一弾はナンシー・フレイザーandアクセル…

研究会のお知らせ:「社会科学における因果性」(追記あり)

(23日に追記。)まだ全然席に余裕あるので、直前までメール待ってます!(懇親会は予約しちゃいましたが。)(8日18:00に追加情報あり。)下記の要領で研究会を開催しますので、お知らせいたします。報告タイトル:社会科学における因果性―現代科学哲学の観…

新刊案内『仕事と家族』

(5/16に追記)5月25日発売予定の新刊の案内です。ここ最近いろんなところで書いてきたことに、いくつか新しい論考を加えています。仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)作者: 筒井 淳也出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015…

因果推論の社会学

前回の「関西計量社会学研究会」で、「計量社会学と因果推論」という主題でお話をさせていただいた。メモ代わりにそこで話したこと、その後に考えたことを書いておく。まず、上記研究会で話したことは、短く言うと以下のとおり。 最近は観察データの分析でも…

今年度の目標(2015年度版)

あれから一年経ちました。まずは「2014年度の目標」を振り返って達成度合いを確認します。 新書の出版:校了! 5月に出版予定! 中公新書から、タイトルは『仕事と家族』(仮)です。 社会学テキストの出版:SY社の方(単著テキスト)、事態が進行せず。編集…

第58回数理社会学会

第58回の数理社会学会(日本女子体育大学)が無事おわりました。参加されたみなさま、おつかれさまでした。今回はセミナー(「傾向スコアを用いた欠測データ解析・選択バイアスの調整とその周辺」)に星野崇宏先生をお呼びし、シンポジウム(「幸福研究のフ…

USJI Weekで報告

USJIという組織が主催するカンファレンスで報告します。場所はワシントンDCの学振オフィス、9/8の10:30からです。部会は"Event 8: Women and Foreign Workers: New Stakeholders of Abenomics?"、私のタイトル(予定)は"When Equal Opportunity Law Fails i…

『立法学のフロンティア〈1〉立法学の哲学的再編』

共著者の井上彰先生よりいただきました。ありがとうございます。井上彰先生は「ハイエク立法理論の再検討」という章を執筆されています。田村先生からいただいたご本に引き続き馴染みのない分野ですが、しっかりと勉強していきたいと思います。立法学のフロ…

『子ども・子育て支援新制度』

著者の前田正子先生よりいただきました。ありがとうございます。2015年4月から施行される新制度が主テーマですが、各地自体の事例なども盛り込まれており、非常に読み応えがありました。改めて勉強させていただきました。みんなでつくる子ども・子育て支援新…

『SPSSによる応用多変量解析』

著者の三輪先生よりいただきました。ありがとうございます。SPSSでマルチレベル(SPSSでは「線形混合モデル」)やパネルデータ分析まで解説! いつもながら頭が下がります。SPSSによる応用多変量解析作者: 三輪哲,林雄亮出版社/メーカー: オーム社発売日: 20…

『なぜ日本の公教育費は少ないのか』

著者の中澤渉先生よりいただきました。ありがとうございます。まさにいま読まれるべき本だと思います。現在2章まで読みましたが、そこまででも納得できるところがたくさんありました。なぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす作者: 中澤…

『現代日本の「社会のこころ」』

著者の吉川先生よりいただきました。ありがとうございます。特に2章(「計量社会意識論の作法」)では、自分の価値関心からもいろいろ学ぶことがありました。現代日本の「社会の心」 -- 計量社会意識論作者: 吉川徹出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2014/06/2…

『保育の社会学』

著者の高倉弘士先生(本学非常勤講師)より頂きました。ありがとうございます。「保育運動」の研究というこれまであまり蓄積がなかった分野での論文を担当されています。保育の社会学:子どもとおとなのアンサンブル作者: 永久欣也,飯田哲也出版社/メーカー: …

『政治哲学6:政治哲学と現代』

田村哲樹先生が恵投くださいました。ありがとうございます。先日本学の井上彰先生とお話させていただいたときも、この分野は重要であるがなかなか踏み込みにくいなあと感じていたのですが、これを機にもう少しがんばってみようかと思います。政治哲学と現代 …

日本的働き方における「フレキシビリティ」の矛盾

シノドスに「男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない」という記事を掲載させていただいた。そこでは、育児期の制度的手当をし、採用・昇進(昇格)に際しての男女差別を排することで(従来の)男性的働き方に女性を引き入れようとしても、結果的に…

ISA Yokohamaで司会と報告

来週からの世界社会学会@横浜で、オーガナイザ(たぶん司会)と報告をひとつずつやります。参加者の方、会場でお会いしましょう。■セッション・オーガナイザ JS-61: Panel Data Analysis of Families Worldwide Thursday, July 17, 2014: 5:30 PM-7:20 PM, R…

今年度の目標(2014年度版)

あれから一年経ちました。まずは「2013年度の目標」の振り返りから。 テキストの出版:ひとつ(S社)の方は、いちおう9割型仕上げて原稿を預けることができました。もうひとつ(U閣)の方は、いちおう仮目次はできてます。(執筆はこれから。) 計量社会学の…